事業の概要
西伊豆町内での経済循環を目的に電子地域通貨を導入しました。
導入にあたり、全町民に1人あたり10,000ユーヒ(1ユーヒ=1円)のポイントを付与したQRコードキャッシュレス決済用カード(スマホアプリへの変換が可能)を配布しました。なお、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため対面式の申請受付は行わず、同時期に実施した定額給付金の郵送・オンライン申請に併せて受付を行いました。この電子地域通貨を運用することで、町民のキャッシュレス決済の利用推進やマイナポイント取得の推進を図るとともに、決済時には利用者と店舗が硬貨や紙幣を触らないため、新型コロナウィルスの感染予防に繋がっています。なお、マイナポイントの取得の機会を広げたことで、西伊豆町のマイナンバーカード保有率は全国3位となっています。
事業の背景
西伊豆町は観光業が中心であり、それ以外の需要は町外に流れており、内需を高め町内経済をいかに循環させるかという問題を常に抱えてきました。そこに4月の新型コロナウィルス感染拡大が起こり、町民の安全を守るため観光関係の事業所に営業自粛を呼びかけると、すぐに町内の経済は止まってしまいました。しかし、町内事業所の経営を少しでも支援するとともに、7月から始まるマイナポイントを町内で囲い込み、確実な内需の喚起を目的に、サンセットコインの導入に踏み切りました。
有識者インタビュー
この取組を面白いと感じた理由
「地域内消費の促進」「マイナンバーカード取得率向上」「キャッシュレス決済の定着」という、自治体が推し進めたい施策を一つの事業で進めることができるものだと思います。
また、町の健康づくり事業やボランティア活動といった、自治体で実施しているその他の分野の取り組みへの参加のインセンティブとしても活用することで、「地域通貨を入れて終わり」となることなく、自治体事業への住民参加と地域内消費の循環を促す環境作りに寄与している点も、魅力的だと感じました。
この取組の特に注目してほしいポイント
この事業で使用されている電子地域通貨は、スマートフォンだけでなくバーコード付のカードでも決済を行うことができ、幅広い世代が利用しやすい仕組みとなっています。この点は高齢化率の高い自治体で利用する際にも強みになると考えます。
また、利用申請の場面においても、対面式の申請受付を行わず、同時期に実施した定額給付金の郵送・オンライン申請に併せて受付を行ったことで、住民は定額給付金申請の「ついでに」申請をすることができます。利用開始までの手間が少ない動線設計は、住民が利用する際の心理的負担を下げることにつながったのではと思います。
この取組と組み合わせたら相乗効果のありそうな取組
自治体の実施するアンケート調査やイベントのボランティア参加者への報酬として活用する等、自治体で実施している事業への参加促進施策としての活用は、得られた地域通貨が再び地域内で使用されるため、自治体でも導入のハードルが低いのではと思います。
この取組をオススメしたい自治体
人口規模が数千~1.5万人程度で、近隣自治体に大型の商業施設があったり、大都市のベッドタウンのような地理的条件にあったりする自治体は、地域外へ通貨が流れやすい経済構造のため、内需喚起策としても有効なのではないでしょうか。
この取組に期待すること
「地域通貨」は域内での流通が確約されている通貨のため、ボランティアなどに参加した方へのインセンティブとして、行政が活用しやすいと思います。
住民にもメリットのある形で行政主催の事業への参加を促したり調査への依頼を行ったりするなど、自治体の事業のインセンティブとして定着させることができれば、各事業の効果を上がり、域内の消費も循環する持続的なシステムになっていくのではないでしょうか。
出典: 地方創生図鑑
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