事業の概要
新型コロナウイルス感染症対策として、保育施設内において紙おむつの「提供」から「廃棄」までを行うことで、保育施設における感染拡大を予防する。また、紙おむつの提供及び廃棄については、官民連携により民間事業者の提供する定額(サブスクリプション)サービス「手ぶら登園サービス」を導入することで、保育施設でのおむつの利用、在庫管理を一括で行い、保育業務の効率化・負担軽減を図る。
事業の背景
保育施設においては、紙おむつを家庭から持ち込み、家庭において処分をしており、新型コロナウイルス感染症が園内で発生した場合においては、紙おむつが感染拡大への媒体となる恐れがあった。また、施設において、紙おむつを園児ごとに個別管理する必要があり、おむつの取り間違えや、持ち帰りの確認などの感染拡大防止の作業が大きな負担となっていた。また、保護者にとっても、子育てと仕事の両立の中、毎日の紙おむつ準備と廃棄の取り扱いが大きな負担となっていた。
首長インタビュー
コロナ禍における地域課題を把握するための活動
三宅町は奈良県で一番、全国でも二番目に小さな町です。このように小さな町だからこそできることを常に意識して町づくりに取り組んでいます。
新型コロナウイルス感染症対策にあたっては、町内の全世帯を対象とした緊急アンケートを実施しました。回答率は約87%という高さで、住民が抱く不安感の大きさが如実に伝わってきました。臨時交付金による事業においても、このような住民の生の声を最大限に活かすようにしました。
臨時交付金事業において住民から評価が高かった取り組み
緊急アンケートで多かった心配ごとの一つが、マスク・消毒液などの確保です。そこで第2波、第3波に備え、これらの用品を町が一括購入し、全世帯に備蓄用品として配布しました。また、町外に住む町内出身の学生などにも同様の支援を行っています。
「みやけお買い物券」と「みやけチョイス」も住民から評判のよい事業の一つです。これは、住民への生活支援、地域産業の活性化を目的とした地域振興券です。商品の発送などには商工会を中心に住民も携わり、町ぐるみでの取り組みとなっています。
注目事業に取り組むことになった背景や目的
この注目事業は、私自身の体験がきっかけの一つになっています。令和2年1月に第一子が生まれ、私も子育てに携わるようになり、そのたいへんさを実感しました。紙おむつの処理もその一つでした。買う量も膨大で、その処理もひと苦労です。そんなタイミングで感染症が拡大し、町営の保育施設での紙おむつの処分・廃棄が感染拡大防止ための課題として浮上してきました。そこで、民間事業者のサービスを活用して解決できないかと検討することになったのです。
注目事業でこだわった点や職員・住民からの評価
町の保育施設では、以前から保育士の業務軽減が課題としてあり、これまでも議論を重ねてきたという経緯がありました。そんなこともベースとなって、職員たちとの課題意識の共有もスムーズだったように思います。現場の保育士たちも「負担が増えるのではないか?」と最初は不安だったようですが、保護者負担の軽減や、自分たちの業務軽減につながるのであれば一度チャレンジしてみようと考え、導入に至りました。この事業のような取り組みは、公立の保育施設では全国初だそうです。保護者からも「ぜひ継続してほしい」という声が多く寄せられ、とても好評です。小さな町、三宅町らしいチャレンジだと思っています。
コロナ禍での町長としての働き方、大切にしている視点
子どもが産まれてから、時短育休をとって仕事をしています。最初迷ったのですが、「子育てに力を入れている町の町長がそれでは絶対にあかん!」と職員たちに背中を押され、率先して実践することにしました。今は子どもの成長を間近で見ることが一番の楽しみです。お弁当も自分で作っています。今朝、玉子焼きの出来がよいと妻にほめられ、今日はテンション高く仕事に取り組んでいます。
このように子育てに携わってみると、行政について改めて気づくことがたくさんあります。生活の当事者としての目線を持つことは、町長の仕事にも大いにプラスになると実感しています。
withコロナ時代の町づくりにどのように取り組んでいくのか
三宅町では、住民や民間事業者との連携による町づくりを積極的に進めています。行政、住民、民間のそれぞれ得意なところを融合させることによって、これまでない地域課題の解決への道筋が見えてくるのではないでしょうか? 感染症対策の事業においても、その手応えを改めて感じています。それを思うと、今回の感染拡大という事態もけっしてマイナス面ばかりではないと、私は前向きに考えています。
出典: 地方創生図鑑
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