東京五輪へ希望の火をつなぐ〜須坂市の小林昌幸さんと岩崎晃汰君が聖火をリレー

 1、2日に県内14市町村を巡った東京五輪の聖火リレーに須坂市の小林昌幸さん(55、光ケ丘ニュータウン)と岩崎晃汰君(13、旭ケ丘町)が参加した。スポンサー企業が行ったランナー公募で選ばれた2人は、トーチを手に春の信濃路を走り、今夏の五輪本番へムードを高めた。
 県内の聖火は初日に軽井沢町から長野市までの7区間、2日目は飯田市から松本市までの7区間をリレー。新型コロナ感染拡大による延期を受け、スポーツ選手や著名人、一般市民ら計180人が、1年越しの思いを胸に聖火をつないだ。
 須坂市役所職員の小林さんは2日目の第1区飯田市を走った。
 所属する旭ケ丘地域づくり推進プロジェクトが地区の催しに毎年出店している「ふれあい市」の取り組みを紹介。東北や熊本から農産物等を購入して販売し、売上金全額を被災地に寄付していることや活動を通して感じた地域の温かさ、地味でも継続していくことの大切さなどを訴え選考を通過した。
 派遣職員で1998年の長野冬季五輪に組織委員会の一員として携わった「あのときの感動が忘れられず、東京五輪が決まったときに、何でもいいので関わりたいと思った」ことも応募の切っ掛けになったという。
 聖火が福島県を出発するまでは「延期や中止になるのではと心配した。感染状況が気になり、常にコロナと向き合いながらの1年だった」と振り返る。
 待ちに待った当日は「一瞬一瞬を楽しみたい」と、一歩一歩を踏み締めながら200mをゆっくりと走った。桜の木が連なる「並木通り」を走行し、「桜が満開ですごいきれいだったし、天気もよくて最高のロケーションだった。想像以上に沿道に人が多く、地元の園児たちが小旗を振って応援してくれるなど、感動して涙が出そうになった」と話した。
 一方、相森中2年の岩崎君は2日目の第5区大町市を走った。
 両親の影響で3歳からスノーボードを始めた。コース上のレールやジャンプ台などを使って技を競う「スロープスタイル」の選手で旭ケ丘小6年のときに年間アマチュアランキングで6位に入り、プロ資格を取得した。
 「県内にはスキー場がいっぱいあるけど、スノーボードをやっている人が少ない」と感じ、「自分が走ることで競技に興味を持ってもらえたらいい」と競技の普及や自身の競技に懸ける熱い思いなどをつづり、聖火ランナーに選ばれた。
 当日まで「聖火リレーを本当にやるのか不安だった」と言うが、実施が決まったときは「うれしかった」。約200mの走行区間は「あっという間に終わってしまった」というのが率直な感想だが、「笑顔で沿道にいる人たちに手を振りながら走ることができた」と振り返った。
 目標は5年後の冬季五輪出場。聖火をつないだことを「普通では経験できないこと。貴重な体験をさせてもらった」とした上で、「五輪でメダリストになったとき、『あのとき聖火ランナーとして走った』と言えたらいい」と話した。

出典: いけいけすざか

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